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ダイヤモンドよりもやわらかくあたたかな未来

作ること、考えること、ときどき旅

壮大すぎた「ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来」

今日の本。「ポスト資本主義 科学・人間・社会の未来」

先日読んだ広井良典先生の去年2015年の本です。

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これも、興味深いけど難しかったですね〜。

読みやすい文章でもないので、読むのに時間がかかりました。読み始めると眠くなったりして。美容室で読んでる時も「難しそうなの読んでますね」「はい、難しいです」と頑張って読んでました。先週読んだ2冊とのつながりもあり、アベノミクスについてもちらほら。知ってることが書いてあると少しラクに読めますね。

初めのページがポストヒューマンと電脳資本主義という項目で、アメリカでは人間の進化の次なる段階「ポストヒューマン」が議論されているとか「攻殻機動隊」という文字があっただけでわくわくしたりしました。

目次の項目だけ見ても、すんげー難しそう。でもおもしろそう。

 

はじめにー「ポストヒューマン」と電脳資本主義

序章 人類史における拡大・成長と定常化ーポスト資本主義をめぐる座標軸

第1部 資本主義の進化

第1章 資本主義の意味

第2章 科学と資本主義

第3章 電脳資本主義と超(スーパー)資本主義vsポスト資本主義

第2部 科学・情報・生命

第4章 社会的関係性

第5章 自然の内発性

第3部 緑の福祉国家/持続可能な福祉社会

第6章 資本主義の現在

第7章 資本主義の社会化またはソーシャルな資本主義

第8章 コミュニティ経済

終章地球倫理の可能性ーポスト資本主義における科学と価値 

 

頑張って読んだので、気になったところをメモメモしとこうと思います。

 

人間の次なる「成長・拡大」の可能性があるとしたら主要な候補としては第1に「人工光合成」第2に「宇宙開発ないし地球脱出」第3「ポストヒューマン」である。

 

著者はこれらの方向に懐疑的とありますが、どれも実際に研究や開発が進められていると思うと、SFアニメや映画の世界が現実になっていくのでしょうかね〜。

 

 

およそ人間の観念、思想、倫理、価値原理といったものは、究極的には、ある時代状況における人間の「生存」を保障するための手段として生成するのではないか、という発想が浮かび上がってくる。

逆に見れば、先ほど見たように近年の諸科学において、人間の利他性や協調行動等が強調されるようになっているのは、そのような方向に行動や価値の力点を変容させていかなければ人間の存続が危ういという状況に、現在の経済社会がなりつつあることの反映とも言えるだろう。

 

自分のことしか考えない人ばっかりだと戦争になって地球住めなくなって、お金持ちは宇宙へ逃げるというふうになるんかな〜。

 

 

生産性が上がれば上がるほど失業が増える

過剰による貧困

“個人の私利の追求が社会全体の富の拡大につながり、結果として公的な善になる”という考えが成り立つ条件は、社会全体の富あるいはパイの総量の拡大が拡大を続けるという前提にこそある。しかし現在は人々の需要が成熟・飽和し、他方では地球資源の有限性が顕在化し、限りないパイの総量の拡大という前提がもはや成立しない状況になっている。そうした中で拡大期と同じような行動を続けるとすれば、プレイヤー同士が互いに首を絞め合うような自体が一層強まっていくだろう。

時間政策という政策展開

 

今までと同じではダメだよね。

 

労働生産性から環境効率性への転換

以前は“人手が足りず、自然資源が十分ある”という状況だったので「労働生産性」(=少ない人手で多くの生産を上げる)が重要だった。しかし現在は全く逆に、むしろ“人出が余り自然資源が足りない”という状況になっている。

 

これからロボットが活躍するようになるとますますこうなるんでしょうね。

 

 

 第8章のコミュニティ経済の中では「恋する豚肉研究所」の取り組みが紹介されていました。実は、地元で働いていた時にこの事業を知り気になってチェックしていたんです!

 

恋する豚肉研究所では養豚場で豚を飼育、加工、流通販売を一括して行い、かつその加工作業を知的障害者が行うという福祉的な機能を持った事業を行っているところで、福祉(ケア)と農業とアートを組み合わせた試みと呼べるものである。「アート」という点は流通や販売にあたってクリエイターの人々が積極的に参加し、デザイン性ないし付加価値の高い商品を心がけていることを指している。また、福祉的な性格を持っていることは商品の流通や販売においては全面に打ち出しておらず、あくまでその質とおいしさで勝負している。興味深いのはこの事業の全体を「ケアの6次産業化」というコンセプトで把握しているという点だ。農業の6次産業化ということはよく言われるが、この事業の場合ケアを軸にして、生産・加工・流通・販売をつなぎ、それを事業化している。しかも養豚のみならずハムなどを作る塩なども地元産にこだわり経済の地域内循環ということを意識した事業となっている。

 

大体の内容は知っていたけど、福祉的な部分があるのは知らなかったので驚きました。

他にも若い世代のローカル志向についても記載や、宮﨑駿氏と養老孟司氏の対談本「虫眼とアニ眼」の紹介もあり、読んでみたくなりました。

以前観光協会で働いていた時、地域内で経済を循環させ活性化することを学びましたが、この本で書かれているコミュニティ経済はそのようなまちづくりに加え、福祉や自然環境もつながり、そこに宇宙や人工知能や宗教、科学的な遺伝子学も関わってくるのだと思えば、地方の田舎でやってることも世界とつながっているんだなと思います。そしてそれを学んでいる若い学生が地方再生に関心を持つことも納得しますね。

 経済的な豊かさでみると、東京は自立しているように思えるけど、食料やエネルギーの物質循環などの視点から見ると、逆に東京は農村部や海外にエネルギーを依存しているので、むしろ自立しているのは地方や農村ではないかという点についても納得。大震災などの災害時には流通がストップしてしまえば生産能力のない都会では食べるものや水もなくなってしまう。農業をしている田舎なら食べ物はないことはないし、水も地下水や川が近くにあれば水道止まった時も全く水が使えないのと全然違うと思います。

 

 

「日本の位置と現在」という項目の中では「アメリカと並んで「非環境志向・非福祉国家」に分類している」 日本について、経済格差や労働時間の長さ、過労死、自殺者の多さ、国の借金など、先進国の中でもマイナス要因が大きいことが挙げられています。それについて、

 

それらの根本的な原因として、日本においては(工業化を通じた)高度成長期の“成功体験”が鮮烈であったため、「経済成長がすべての問題を解決してくれる」という発想から(団塊世代などを中心に)抜け出せず、人と人との関係性や労働のあり方、東京ー地方の関係、税や公共性への意識、ひいては国際関係(アメリカー日本ーアジアという序列意識など)等々、あらゆる面において旧来型のモデルと世界観を引きずっているという点が挙げられるだろう。「アベノミクス」はそうした残滓(ざんし)(ある意味で最後の)象徴ではないだろうか。

 

そうかもしれないですね。アベノミクスについて批判するつもりはないけど。戦後、アメリカの指導のもとで、アメリカに習って国を復興し、高度成長してきた日本ですが、これから変わっていくのかもしれない。いま注目のアメリカ大統領選ですが、もしトランプ氏が大統領になって、日本がアメリカと少し離れるような感じに、もしもなったとしたら戦後からこれまでの自民党の経済成長第一主義や開発主義からもっと福祉や環境を重視するようなヨーロッパ寄りに転換するいいきっかけになるかもしれない、とか、考えてしまいました。

 

 

最後あたりのまとめの文章、ここだけ読んでもなんのこっちゃわかりませんが、メモ。

 

そして最後にもう一歩思考を展開させれば、先ほどの「ローカル/グローバル/ユニバーサル」の議論ともつながり、また第5章での「生命/自然の内発性」をめぐる考察とも関わるが、近年の諸科学がビッグバンないしインフレーションからの宇宙の創生、地球システムの形成、生命の誕生、そして人間と意識の生成といった一連の出来事を、生命ないし自然の内発性と重厚的な自己組織化という、一つの一貫した過程として捉えるという方向に向かっているとすれば、この図の中で最も「ローカルな場所にある自然信仰は、その根源において宇宙的(ユニバーサル)な生命の次元とつながり、それはグローバルな地球倫理をも包含する位置にあると言えるかもしれない。

 

全部読んだらなんとなくわかるんですけど、経済とかけ離れた(と思っていた)こととのつながりがありすぎて、壮大過ぎるまとめになってますね。宇宙・文明・宗教・エコ・火の鳥手塚治虫の漫画)・民俗学・歴史・多様性などなどなどなど、「終章 地球倫理の可能性」では本当に多岐にわたっていていっぱいいっぱいになりましたw

 

一番最後の文章は

 

残念ながら私たち人間は「火の鳥」のように超越的ないし俯瞰的な視座から未来を見通すことはできないが、世界の持続可能性や幸福といった価値を基準にとった場合、定常化あるいは「持続可能な福祉社会」への道こそが、私たちが実現していくべき方向ではないか。これが本書の中心にあるメッセージである。

 

ここは、さすがにわかりやすかったです。そうゆうことなんですね。それを説明するために、難しいことがたくさん書いてあったけど、そうゆうことなんですね。難しいことも多かったけど、いろいろ考えさせられて、やっぱり読んでよかったです。これからの幸せとか、田舎にいても、お金で買えない幸せを追求していくこともいいのかなと思いました。子どもも産まれるし、ゆっくりのんびり瞬間瞬間の時間を大切に楽しんでいけたらいいですね~。

 

 

 

あとがきで紹介されていた「田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」」は以前から気になっていた本なので、次読んでみようと思います。後1週間で予定日なので読むのが先か産まれるのが先か。まだでてこないかな。

 

 

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」